フルデュプレックス通信

 送信と受信を同一周波数帯で同時に行うフルデュプレックス通信は,有線通信では1000BASE-T(IEEE 802.3ab)において既に実用になっているものの,無線通信ではこれまで極めて非現実的と考えられてきました.これは,受信信号に及ぼす送信信号からの自己干渉を除去しようとしても,有線に比べて無線では減衰が極めて大きく,自己干渉に対して受信信号が極めて小さいためです.近年,アンテナ技術及び信号制御技術のブレークスルーが自己干渉キャンセルを可能としつつあり,先行的成果を出しているフィンランド Aalto University,Tampere University of Technology (TVT)と共同して研究を進めています.
 これまでの重要な成果としては,右図のように,フルデュプレックス通信を行っている時間帯 \tau_2 に加えて,\tau_1\tau_3 という時間幅で単一の通信を組み合わせて最適化すると,トータルとして単純なフルデュプレックス通信よりも高い容量を実現できる適応リソース割当法があります [Yamamoto2011].また,フルデュプレックス通信と通常の半二重通信の共存時の干渉マネジメント問題にも取り組み,新たな知見を得つつあります [Sakaguchi2015].

  • [Yamamoto2011] K. Yamamoto, K. Haneda, H. Murata, and S. Yoshida, “Optimal transmission scheduling for a hybrid of full- and half-duplex relaying,” IEEE Commun. Lett., vol.15, no.3, pp.305-307, March 2011.
    http://ieeexplore.ieee.org/xpls/abs_all.jsp?arnumber=5701751
  • [Sakaguchi2015] K. Sakaguchi, K. Yamamoto, T. Nishio, and M. Morikura, “Symmetric interaction in channel allocation for bi-directional in-band full-duplex network,” Proc. the 26th IEEE International Symposium on Personal Indoor and Mobile Radio Communications (PIMRC 2015), pp.1734-1739, Hong Kong, Sept. 2015.
    http://ieeexplore.ieee.org/xpls/abs_all.jsp?arnumber=7343579