M2Mネットワーク



 通信ネットワークは,人間同士が通信を利用する段階から,人間が介さず機械同士が通信を行うM2M(Machine to Machine)と呼ばれる新たな段階に移行しつつあります.最も現実的なアプリケーションとしてスマートメータがあります.各家庭の電力メータやガスメータは無線ネットワークに接続され,検針が自動的に行われるだけでなく,ネットワーク側から何らかの制御が可能になりつつあります.
 スマートメータをはじめ,最先端の情報通信技術を駆使した自然災害予防のための環境モニタリングや,ヘルスケア・メディカルケアのためのバイタルモニタリングを実現するM2M無線ネットワークは,携帯電話や無線LANで要求される高速大容量と比較して低速であるものの長い通信距離が要求され,現在920MHz帯域での運用を視野に入れたIEEE 802.11ahをはじめとする標準化が進行していますが,結果として数万といった端末が競合する状況になります.また,莫大な数の端末のメンテナンスフリーのために,バッテリレスが求められるようになるでしょう.このような課題に対して,我々の研究室で培ってきた無線通信技術を駆使し,新たな時代を支える基盤技術の研究に取り組んでいます.
 顕著な成果として,過度な競合を緩和するための仮想グループ化方式があります.一般に,競合を緩和するためにはグループ化を行えばよいですが,集中制御を行うことが一般的です.これは,無線LANのような分散制御の考え方と相性が低く,スケーラビリティに欠けます.提案する方式は,分散制御で仮想的にグループ化を実現しており,無線LAN機器を用いた実証実験にも成功しています.